本文へ移動

東京都の嘱託産業医
ストレスチェック対応

産業医の基礎知識

最終更新 公開日 

50人以上で産業医がいないと罰金?│期限を過ぎても今日から選任できる

50人以上で産業医がいない。罰金の対象。期限を過ぎても今日から選任できる
杉山 大介

執筆:杉山 大介

株式会社サンダーメディコ 代表・現役の嘱託産業医

noteで産業保健の実務知見を発信しています

常時50人以上の事業場は、50人になった日から14日以内に産業医を選任します。選任しないままだと、50万円以下の罰金の対象になることがあります。

ただ、期限を過ぎても選任の義務は消えないので、気づいた今日から動けば取り戻せます。気をつけたいのは、急いで決めた先生と合わなくても、会社の側からは断りにくいことです。

50人以上で産業医がいないときの要点

  • 選任しないままだと罰金50万円以下の対象になることがある。まずは監督署の指導が一般的
  • 期限は14日。探して契約するまでには、条件によって数週間かかることがある
  • 急いでも外さないために、契約前の面談で聞く4つ

50人以上で産業医がいないと、どうなりますか?

産業医の選任義務に違反した状態になり、50万円以下の罰金の対象になることがあります。14日を過ぎた瞬間に自動で科されるわけではなく、実務上はまず労働基準監督署から指導を受けるのが一般的です。ただ、期限を過ぎても選任の義務はなくならないので、速やかに選任と届出を進めてください。

50人は会社全体ではなく、本社・支店・工場などの事業場ごとに数えます。パートやアルバイトも、継続して雇っていれば人数に入ります。

50人未満に選任の義務はありませんが、健康管理の努力義務があります。2028年4月からはストレスチェックも義務になります。

選任義務・期限・罰則・努力義務の根拠
  • 選任義務:労働安全衛生法第13条第1項・同法施行令第5条
  • 選任の期限:労働安全衛生規則第13条第1項第1号
  • 罰則:労働安全衛生法第120条
  • 50人未満の努力義務:労働安全衛生法第13条の2

今から産業医を探して、14日に間に合いますか?

50人に達してから探し始めると、14日には間に合わないことがあります。問い合わせから契約までは、地域や条件、医師の空き状況によって数週間程度かかる場合があるからです。これから50人に達する会社は、50人が見えた段階で探し始めてください。

もう期限を過ぎている会社は、今日から動けば十分です。今日やるのは、事業場ごとの人数・所在地・頼みたいことを書き出して、窓口に連絡することです。慌てて決めるより、合う医師を外さないことに数日を使ってください。

産業医がいない間の健康診断や面接指導はどうしますか?

産業医がいない間も、健康診断の後の意見と長時間労働の面接指導は、医師に頼んで止めずに進めます。どちらも法律が求めているのは「医師」で、産業医に限られていないからです。根拠は労働安全衛生法第66条の4と第66条の8です。

選任まで

産業医がいない間に頼めることと止まること

止めてよい仕事はありません。止まってしまう仕事を先に知っておきます。

仕事産業医がいない間/頼み先
健康診断の後の意見医師に頼める/健診機関の医師など
長時間労働の面接指導医師に頼める/医療機関など
ストレスチェックの実施医師・保健師などに頼める/委託先
衛生委員会法定の委員構成を満たせない/速やかに選任し、話し合いは続ける
職場巡視産業医の職務なので止まる/選任してから
この表の根拠
  • 健康診断の後の意見:異常の所見がある人について、医師または歯科医師の意見を聴く(労働安全衛生法第66条の4)
  • 長時間労働の面接指導:医師による面接指導(同法第66条の8)
  • ストレスチェック:医師・保健師などが行う(同法第66条の10)
  • 衛生委員会:委員に「産業医のうちから事業者が指名した者」が入る(同法第18条第2項第3号)
  • 職場巡視:産業医が少なくとも毎月1回行う(労働安全衛生規則第15条)

産業医がいない状態で法令どおりに行えないのは、衛生委員会と職場巡視です。衛生委員会の委員には産業医が入ると決まっているので、不在の間は法定の委員構成を満たせません。速やかに選任しながら、職場の安全衛生に関する話し合いや必要な対策は続けます。

50人未満の事業場なら地域産業保健センターを無料で使えますが、50人以上の事業場は対象ではありません。産業医がいない50人以上の事業場は、健診機関や医療機関に個別に頼みながら、選任を急ぎます。

産業医はどこで探せますか?

産業医は、紹介会社・医師会・健診機関・直接契約の4つの窓口で探せます。違うのは、速さ・費用・医師を選べる幅のどれを優先できるかです。合う医師に当たるかどうかは、どの窓口でも保証されません。

窓口

向く会社と気をつける点

窓口が決めるのは入口までです。

窓口向く会社/気をつける点
紹介会社初めてで期限が近い/総額は高め
医師会地元で長く付き合いたい/比べにくい
健診機関健診との連携を重視/選ぶ幅は狭い
直接契約医師を自分で選びたい/探す手間は自社

紹介会社と直接契約の違い

紹介会社は候補が見つかるまでが速い一方、間に入る分の費用が総額に含まれることがあります。直接契約は医師本人と話して人柄を確かめられる一方、候補探しと契約書の準備は自社で持ちます。

直接契約では、医師が産業医の要件を満たしているかも確認してください。根拠は労働安全衛生法第13条第2項です。

50人未満の会社が使える地域産業保健センター
労働者が50人未満の事業場は、地域産業保健センター(地さんぽ)を原則無料で使えます。独立行政法人労働者健康安全機構が全国約350か所に置く窓口です。医師・保健師による健康相談、長時間労働者や高ストレス者への医師の面接指導、医師などの訪問による保健指導を受けられます。事前の申込みが必要で、利用できる回数にも限りがあるので、継続して相談したい場合は産業医との契約もあわせて考えます。

ただ、どの窓口から入っても、最後に会社へ来るのは一人の医師です。契約後の良し悪しを決めるのは、窓口ではなく医師との噛み合わせです。

合わない産業医に当たると何が起きますか?

合わない産業医に当たると、会社は相談のたびに言葉を選ぶようになります。放送技術社の赤川様は、以前の産業医について「少し硬い感じで、こちらも言葉を選びながら話していた」と振り返ります。

しかも、顔合わせで「ちょっと違うかもしれない」と感じても、会社の側から断るのは意外と気を使います。紹介してもらった手前もあり、先生本人と話した後ならなおさらです。

言葉を選ぶ相手には、「まだ何か起きたわけではないけれど、この社員が少し気になる」という相談が届きにくくなります。どれだけ知識があっても、相談されなければ使う場面がありません。

休職や復職は訪問日を待ってくれない

産業医の訪問は、月に1回か2か月に1回のこともあります。けれど休職・復職やメンタル不調は、訪問日に合わせて起きてはくれません。

診断書が出た、復職したいと言われた。そういうときに数日返事がなければ、その間ずっと会社の判断が止まります。だから探す前と契約の前に確かめておくことがあります。

産業医を探す前に何を決めておきますか?

探す前に決めるのは、事業場ごとの人数・所在地・業種や勤務形態・頼みたいことの4つです。巡視と衛生委員会だけか、休職・復職の対応まで要るかで、必要な支援が変わるからです。私が最初に伺うのもこの4つです。

整理

探す前に社内で決めておくこと

全部埋まっていなくても、上の3行が分かれば相談は始められます。

整理すること決まること
従業員数選任義務の有無
所在地訪問かオンラインか
業種・勤務形態面談の組み方
頼みたいこと月額に含む範囲
期限14日以内に選任
予算訪問の頻度

人事をひとりにはしません。
まずはご相談ください。

  • 無料
  • 秘密厳守
  • 無理な勧誘なし

相談しやすい産業医は契約前にどう見分けますか?

相談しやすい産業医は、契約前の面談で4つのことを聞けば見分けられます。連絡の取りやすさ・意見の返し方・休職と復職の進め方・対応できる範囲です。切り替えを考えている会社から相談を受けると、この4つへの不満が多い印象です。

選び方

契約前に聞いておく4つ

面談で聞けば、その医師の仕事の進め方が見えます。

確認すること聞き方/見るところ
訪問日以外の連絡手段と対応の時間帯/返事が来る経路
意見の返し方会社の事情を聞くか/実行できる形か
休職・復職の進め方本人と会社の両方を見るか/着地点の作り方
対応できる範囲業種や作業環境の経験/できないことを言うか

返事は半日以内に来るか

トラストネットワークの渡邉様は「連絡して、半日も待つことはほとんどない」と話してくださいます。理由はこうです。

「最終的には私たちが現場で対応していかなければなりません。だからこそ、不安なことがあったときに、すぐ相談できるというのは大きいです」。

すぐに答えが出なくても構いません。「確認して明日返します」と一度返せるかどうかに、その医師の仕事の仕方が出ます。サンダーメディコでは、オンライン面談を平日20時まで(事前予約制・最終開始19:30)受け付けています。

医学的な判断を会社が動ける形で返してくれますか?

産業医は会社と従業員の間に立つ仕事です。医学的に正しいことを言うだけでは、人事はその先に進めません。

復職の面談なら、症状や治療・睡眠や生活リズム・本人の意向を聞き、主治医の診断書も判断材料にします。そのうえで会社から、仕事内容・残業・出張・夜勤の実態と、できる配慮を伺います。

返す意見はたとえば「まず1か月は残業なしで勤務し、その後もう一度状態を確認する」。本人が安全に働き続けられる着地点を、会社と一緒に考えるのが産業医の役割です。

できない範囲を自分から言いますか?

候補の医師が「ここは経験がある」「ここは対応範囲を分ける」と自分から言えるかを確かめます。できない範囲を先に示せるかどうかは、契約後の信頼に関わるからです。

たとえば私の巡視経験は主にオフィス環境で、工場などの特殊な作業環境に豊富な経験があるわけではありません。その点は対応範囲を明確にしたうえで取り組んでいます。

産業医の費用は何で比べますか?

産業医の費用は、月額に含まれる業務と都度払いの単価を並べ、年間の総額で比べます。安い産業医と高い産業医の差は、医師の質より契約内容の差であることが多い印象です。訪問時間が短い、面談や意見書が都度払い、といった違いが月額に表れます。

サンダーメディコの月額は3万円・5万円・7万円(税抜)で、差は訪問頻度だけです。人事労務の相談・月1回30分の社員面談・健康診断後の就業判定・年1回のストレスチェックは、3つとも基本料金に含みます。

プランごとの訪問回数は嘱託産業医サービスの料金表に、契約書のひな形や税務は契約の記事にまとめています。

ひとりで労務を担う場合は、産業医探しを何から始めますか?

ひとりで労務を担う場合は、法令上必要な対応と、健康上の優先度が高いものから始めます。総務や経理と労務を兼ねる方からは、「課題がいくつもあって、何から手をつければいいか分からない」という相談をよく受けます。全部を一度に整えようとしなくて大丈夫です。

流れ

最初に取り組む順番

ステップやること/ポイント
1法令上必要な体制を確認する/選任・巡視・衛生委員会など土台から
2進行中の個別案件を先に対応する/休職者などの対応を止めない
3年間の流れを作る/定期・年1回・必要なときに分ける
4一歩先の取り組みへ進む/健康経営などは土台ができてから

産業医を初めて選任したOh my teeth様には、選任の手続き・社内周知・衛生委員会の規程・議事録・巡視の記録のひな形をまとめて渡しました。毎回ゼロから考えずに済む「型」があれば、担当者が兼務でも回ります。

産業医の依頼先が決まったら何をしますか?

依頼先が決まったら、契約・労働基準監督署への報告・初回の打ち合わせの順に進めます。契約して終わりにせず、報告と初回の打ち合わせまでをひとつの区切りにしてください。

流れ

契約・選任・初回対応の5ステップ

ステップやること/ポイント
1業務範囲と月額を決める/訪問頻度・面談回数・急ぎの連絡方法まで
2契約を結ぶ/確認項目は契約の記事で
3労働基準監督署へ報告する/選任後は遅滞なく(規則第13条第2項)
4初回に年間の流れを整理する/定期・年1回・必要なときに分ける
5定期の巡視と面談を回す/巡視は毎月1回(条件つきで2か月に1回・規則第15条)

今の産業医から替えるときはどう進めますか?

産業医の変更は、後任を決めてから今の契約を終える順番で進めます。変更に法令上の制限はありません。気をつけるのは、空白期間を作らないことと、フォロー中の従業員の対応を途切れさせないことです。

先ほどの赤川様の会社も、以前の産業医のあとに私が担当している会社です。いまは「構えずに話せます。身近に感じる存在です」と話してくださっています。

聞き返しにくい、面談のあとに次に何をすればいいか迷う。そうした状態が続いているなら、替えることは失礼ではなく、選択肢のひとつです。

流れ

産業医を変更するときの5ステップ

ステップやること/ポイント
1困っていたことと期待を書き出す/相談できなかった場面の形で書く
2いまの契約の解約条件を確認する/予告期間と更新の時期を見る
3後任を決める/空白期間を作らない
4辞任・解任と新任の報告をする/衛生委員会と労働基準監督署へ(規則第13条)
5引き継ぎをする/いま行われている産業保健業務を確認する

引き継ぎでは、巡視・衛生委員会・健診やストレスチェックの運用を確認します。休職・復職や就業上の配慮が続いている方の経過も引き継ぎ、担当医が変わっても支援を途切れさせません。

産業医の探し方についてよくある質問

スポット(単発)だけで済ませることはできますか。
常時50人未満で選任義務がない事業場なら、面接指導などをスポットで頼む形は選択肢になります。50人以上の事業場は特定の医師を選任して届け出る必要があるので、スポットだけで義務は満たせません。
拠点が全国にあります。1人の産業医で対応できますか。
巡視など現地で確認する業務と、休職・復職や高ストレス者の面談などオンラインでできる業務を分ければ対応できます。トラストネットワーク様では、東京都以外の長野の事業所の面談もオンラインで受けています。

まとめ│「相談しやすさ」も産業医の専門性です

産業医探しで差が出るのは、窓口ではなく、本音で相談できる医師に当たるかどうかです。50人が見えた段階で動き、探す前に人数・所在地・頼みたいことを決め、契約前の面談で4つを聞いてください。

合わなかったときは、後任を決めてから替えれば大丈夫です。探し方に迷ったら、状況の整理から始めるだけでも構いません。人数と所在地と困っていることが分かれば、次に何をすればいいかはお伝えできます。

従業員50〜300名の企業の方へ

  • 無料
  • 秘密厳守
  • 無理な勧誘なし

産業医の選び方を、
探し始める前に相談する

無料│資料ダウンロード

はじめての産業医ガイド

産業医の導入と衛生委員会の立ち上げ手順をまとめた2冊(PDF)

代表取締役・産業医 杉山 大介

杉山 大介

株式会社サンダーメディコ 代表│東京都の嘱託産業医

現役の嘱託産業医として複数社を担当。「来る産業医」ではなく「動く産業医」をモットーに面談・衛生委員会・職場改善まで実務に入る。

この記事をシェア

関連記事

このページから、そのまま相談できます

代表の杉山が直接お返事いたします。

代表取締役・産業医 杉山 大介
  1. 1無料相談
  2. 2ヒアリング(30分・オンライン)
  3. 3お見積り・ご契約

※確認に時間がかかる内容は、その旨を先にお伝えします。

安心してご相談いただくために

  • 秘密厳守
  • 30分・オンライン・無料
  • 現状の整理だけでも歓迎です
  • 無理な勧誘はしません

これまで約50社の企業で産業医業務に携わってきました

テレビ朝日グループ トラストネットワークテレビ朝日グループ 株式会社放送技術社Oh my teethcubic solutionsTERRA co.,ltd.FULL STACKパシコン技術管理株式会社

※仲介事業者を通じた担当実績およびサンダーメディコ設立前の担当実績を含みます。スポット対応は含みません。

従業員の方個人が特定できる情報(お名前・病名など)のご記入はお控えください

送信をもって、プライバシーポリシーに同意したものとみなします